管理に
ついて
発達特性とお金の
発達障害のある人のうち、お金の使い方に関する悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。ここでは、ADHDの不注意・衝動性やASDのこだわりの強さなどといった特性が背景となりお金の管理に支障をきたしてしまう原因や、対策方法などをご紹介します。
発達障害(ADHD・ASD)の特性と、お金の管理が苦手な理由
発達障害のある人では、以下のような特性が背景にあるために、お金の管理がうまくできないことがあります。
<ADHD>
- 不注意:
計画や見通しを立てるのが苦手で、計画的にお金を管理することが難しい。家計簿をつけるのが苦手な人や、毎月の収支を把握できていない人も多い。 - 衝動性:
欲しいもの・行きたいところがあるときなどに感情や行動を抑えられず、衝動的にお金を使いすぎてしまう。
<ASD>
- こだわりが強い:
興味があることに没頭したい、ひとつのことに強くこだわり徹底的に追求したいという気持ちから、購買欲が抑えられない。特定のものを収集したり高価なものでも躊躇なく購入してしまったりすることもある。
中には、管理がうまくできないだけでなく、お金を使いすぎて生活費が足りなくなり、借金をしてしまう人もいるようです。
一方で、節約や貯金に対する強いこだわりを持つ場合には、通常では考えられないほどに節約や貯金に執着してしまう人もいます。
過度な使いすぎ・節約しすぎは、生活に支障をきたし本人だけでなく周囲にも影響を及ぼしてしまう可能性もあるため、バランスを保つ必要があります。
お金を管理するための対策
ここでは、上手にお金を管理するための方法として4つの対策ポイントを紹介します。
対策ポイント①
自分の消費パターンを知り、衝動買いや使いすぎを防ぐ
最近の買い物のうち、どんなときにどんなものを買ってしまったのか、量や金額は妥当だったのかなどを思い返し、自分の買い物の傾向を振り返ってみましょう。やみくもに消費を抑えようとするよりも、それぞれの消費バターンに応じて対策を考えるほうが効果的です。
<例>
- ネットサーフィンでつい衝動的に買ってしまう
→ 店頭で購入する - ウインドウショッピングで衝動的に買ってしまう
→ あらかじめ「買い物リスト」を用意し、それ以外は買わないようにする - クレジットカードを使いすぎてしまう
→ 現金を使うようにし、持ち歩く金額を制限する - 同じものを大量に購入してしまう
→ 既に購入したものを把握してから買い物にでかけるようにする
対策ポイント②
適切な金銭感覚を養う
一般的な金銭感覚を身につけておくと、購入しようとしている物やサービスが妥当な金額かどうか、自身の収入でまかなえるかどうか判断でき、無駄な出費や節約しすぎを防ぐことにもつながります。以下のような生活費やサービスの相場はどの程度なのか、ご自身の収入に対してどの程度であれば許容範囲なのか、一度考えてみましょう。また、身近な人にお金の使い方を聞いてみるのもよいでしょう。
家賃や光熱費 / 毎日の食材費 / 一度の外食にかける金額
衝動的に買ってしまった物の金額 / 服飾費
趣味や娯楽、旅行にかける金額 / 毎月の貯蓄額 など
家賃や光熱費 / 毎日の食材費 / 一度の外食にかける金額 / 衝動的に買ってしまった物の金額 / 服飾費 / 趣味や娯楽、旅行にかける金額 / 毎月の貯蓄額 など
対策ポイント③
自分なりのお金の管理方法を身につける
ポイント①②を元に、自分に合ったお金の管理方法を作り実践してみましょう。毎日コツコツ続けることで、お金の管理が習慣化されます。このとき、あくまでも毎日実践できる方法として考え、厳格に管理しすぎるあまりストレスを感じてしまわないようにすること、人付き合いや趣味への出費を制限しすぎてしまわないようにすることなどに注意しましょう。
<例>
- 毎月、使ってもよい金額をあらかじめ設定する
- 家計簿(お小遣い帳)をつけ、毎月の収支や明細を記録する。ノートやアプリなど、自身の記録しやすい方法を選ぶ。
対策ポイント④
周囲の人にも協力してもらう
家族やパートナー、友人などといった周囲の人にも協力してもらうのもよいでしょう。家計簿をつけるのを手伝ってもらったり、ひとりで管理できるようになるまではお小遣い制にしてみたりするなど、サポートを得ながら習慣化に取り組むことも効果的です。
お金の管理について悩んだ場合の相談先
発達障害のある人が受けられる支援・サービスの中には、金銭感覚を始めとした生活への困りごとについて相談できるものもあります。
たとえば、就労支援サービスには、継続就労を目的とした生活支援もサービス内容に含まれているため、収入の中で上手にやりくりする方法や適切なお金の使い方について相談することもできます(事業所により提供するサービスが異なることがあります)。
発達障害のある人が受けられる支援・
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監修:昭和大学 発達障害医療研究所
所長(准教授) 太田晴久先生
本文中に使用されている専門用語(アンダーラインのついたもの)については発達障害関連ワード集に詳しく説明があります。