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付き合い方・向き合い方ガイドブック 診断書とは

診断書が必要になるケース、
取得方法などについて

「医師の診断書」という言葉はよく耳にするけれど、どんな時に必要となり、どのように取得するのかわからないという人もいるのではないでしょうか。
ここでは、診断書の取得方法や、必要になるケースなどについてご紹介します。

更新日:2024年2月28日

診断書とは、医師が症状について
証明した文書のこと

診断書とは、医師が患者を診断しその結果に基づき、病名や症状などの健康状態について医学的な情報を記載した書類のことです。
診断書には、死亡診断書(死体検案書)とそれ以外の目的での診断書の2種類に分けられますが、日常的には後者の方を指す言葉として用いられます。後者には、健康診断書、出生証明書などもあります。

診断書には、以下のような内容が記載され、用途に応じて項目が追加・削除されます。

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 性別
  • 疾患名(診断名)
  • 症状や既往歴
  • 発症した日
  • 初診日/診断された日
  • 検査結果
  • 治療内容
  • 治療に要する期間
  • 休職の場合は、休養期間に関する医師の判断 など

診断書とは別に、意見書というものもあります。これは患者さんの状態や仕事・日常生活に影響を与えること、必要とされる配慮などについて医師の助言をまとめた書類を指します。たとえば、復職する際の検討事項などが記載されたものです。

診断書は、福祉サービスの申請や休職など、さまざまなタイミングで公的な証明書として提出を求められます。その用途によって記載事項や取得に必要な費用などは異なります。
詳しく紹介していきましょう。

診断書が必要になる場合

診断書が必要になるタイミングは状況に応じてさまざまありますが、ここでは主なものとして休職や業務の調整、福祉サービスの申請、保険の申請という3つについて紹介します。

仕事で休職や欠勤・業務の調整をするとき

健康状態が悪化した場合など、欠勤・休職を余儀なくされたり医師から就業のストップや業務の調整を助言されたりすることがあります。欠勤では診断書の提出を勤務先から求められることは少ないかもしれませんが、休職や業務の調整においては診断書の提出を義務付けている企業もあり、提出の必要性を勤務先に確認した方がよいでしょう。

休職制度とは、業務外の理由(たとえば病気や自己都合など)により就業が困難な場合、雇用関係を維持したまま一定期間の業務遂行義務を免除する制度です。期間や申請方法は企業により異なります。なんらかの病気や健康上の理由から休職を申請する場合、必要に応じて医師から休職診断書を取得し、勤務先へ提出します。

福祉サービスを申請するとき

国や自治体が提供する福祉サービスの中には、利用申請の際に診断書の提出を求められることがあります。たとえば、障害者手帳や障害年金、自立支援医療などの申請においては診断書が必要になります。

  • 障害者手帳
    障害を持つ人が取得できる手帳の総称で、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3種類があります
  • 障害年金
    病気やケガにより日常生活や仕事が制限された人が受給できる年金で、障害基礎年金、障害厚生年金などがあります。
  • 自立支援医療
    心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

障害者手帳とは

健康保険や労災など保険関連の申請をするとき

医療保険や労災保険、傷害保険などの申請において、診断書の提出を求められることがあります。中には、診断書を省略できる場合や、意見書が必要になることもあります。

診断書を取得するまでのステップ、期間・費用の目安

診断書を取得する際の基本的な流れは以下のようになります。

  1. 医療機関を受診し、医師に診断書の作成を依頼する。
    規模の大きな病院では、診断書専用の窓口が設置されていることもある。
  2. 医師の診察に基づき、疾患や症状を判断される。
  3. 診断書を受け取る。医療機関の窓口で直接受け取る場合や、郵送での受け取りなど、方法はさまざま。

診断書は、依頼すれば必ず取得できるというわけではありません。特に症状が認められず診断ができない場合や、医師が不要と判断した場合には発行されません。

診断書発行までの期間

一般的に2週間程度かかることが多いですが、即日作成してくれる医療機関もあります。また、うつ病などの精神疾患の場合は、初診日に診断が下せず診断書の発行に期間を要することもあります。これは正確な診断のために必要なことですので、勤務先などに提出する日程も併せてあらかじめ想定しておくとよいでしょう。

診断書発行にかかる費用

診断書発行の費用は各医療機関が独自に決めるもので、一律の料金設定があるわけではありません。用途によりさまざまですが、2,000~10,000円程度で発行してもらえるようです。なお、診断書発行は医療保険の対象外であるため、全額自己負担となります。
勤務先に診断書を提出する場合、企業によっては診断書の費用を負担してくれることもありますので、一度確認してみるとよいでしょう。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは、病気やケガの療養のために休職してしまった場合などに、本人と家族の生活を保障するために支給されるものです。休んだ日が連続して3日間あり、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。その際、病気やケガで働けないことを証明する方法として、診断書を提出するケースが多くあります。
傷病手当金が支給される条件として、業務外の病気やケガで療養中であること(労災ではないこと)、療養のために働けないこと、連続する3日間を含め4日以上休んでいること、給与の支払いや手当がないこと、があります。詳細な条件は企業ごとに異なることがありますので、勤務先へご確認ください。

発達障害に関して診断書が必要になるのはどんなとき?

発達障害の診断を受けている人でも、以下のようなさまざまなケースで診断書が必要になることがあります。

  • 自立支援医療制度を利用するとき
  • 精神障害者保健福祉手帳を取得するとき
  • 就労支援プログラムなどの福祉支援・サービスを受けるとき
  • 休職するとき
  • 障害年金を申請するとき

また、18歳未満の場合は特別支援学級への入級や療育制度を利用する際に提出を求められることがあります。

発達障害の診断書を取得したい場合、診断を受けた医療機関に依頼してみるとよいでしょう。まだ診断を受けていないけれど診断書の取得について考えている人は一度、発達障害の専門医がいる医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。

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【参考文献】

監修:昭和大学 発達障害医療研究所
所長(准教授) 太田晴久先生

本文中に使用されている専門用語(アンダーラインのついたもの)については発達障害関連ワード集に詳しく説明があります。