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付き合い方・向き合い方ガイドブック周囲の方へ
どう接し、どう伝えるか、
行動のヒント

発達障害という言葉や概念は広まりつつありますが、周囲の方にとっては、“実感”として分かりづらい・理解しづらいことも多いのではないでしょうか。
ここでは、周囲の方が発達障害について調べる方法や、接し方、伝え方のヒントを紹介します。

まずは調べてみよう

大人の発達障害について調べる方法をいくつかご紹介します。

当サイト「大人の発達障害ナビ」で知る

当サイトでは、発達障害の当事者と周囲の方をサポートするための情報を、以下のようなメニューに分けて提供しています。まずはこのサイトをご覧いただき、発達障害に関する理解を深めてみませんか。

書籍や映画、ドラマを参考にする

発達障害が社会に広まる中、発達障害に関する多くの書籍が発売されています。また、映画やドラマで取り上げられることも増えていますので、探してみてはいかがでしょうか。
また、当サイトでも発達障害に関する書籍や映画を紹介していますので、参考にしてみてください。

発達障害関連書籍・映画のご紹介

厚生労働省や医療機関による情報を見てみる

厚生労働省などの公的機関や、医療機関が作成したWebサイトは、信頼できる情報源として参考になります。一度、調べてみてはいかがでしょうか。

身近な当事者やその周囲の方に話を聞いてみる

もし身近に当事者やその周囲の方がいれば、話を聞いてみることでリアルな情報を得られるかもしれません。
また、当サイトの「発達障害 みんなのストーリー」でもさまざまな体験談を知ることができます。

発達障害 みんなのストーリー

発達障害の可能性についての伝え方

家族や職場で関わる人、または友人などに対して「もしかして発達障害があるかもしれない」と感じているとき、その相手に直接、発達障害の可能性を伝えることは難しいことに思われるかもしれません。ここでは、ヒントとなるような伝え方の一例をご紹介します。

伝える前の準備
  • 相手のタイミングをみて、お互いがリラックスして話せる環境を用意する。
  • たとえば、特性が原因で失敗してしまった直後や落ち込んでいるときなどは避けた方がよい。
  • 相手との関係性によっては、他の人から伝えてもらうことなども考慮する。
  • 発達特性は誰にでもあるものだという視点を持つ。
  • 発達障害に関する理解を深め、日々の言動を元に、どの特性があてはまりそうか、事前に考えておく。
伝え方のヒント
  • 以下のような3ステップに分けて話してみる。

    ステップ1

    初めて伝えるときには、いきなり「発達障害」や「ADHD」 「ASD」などのキーワードを出さない方が、相手に理解されやすいので、どのような言い回し・表現で伝えるか考えておく。

    ステップ2

    まず、相手にどんな特性があると考えているか、具体的な事例も合わせて話す。相手に共感と自己理解を促しながら、双方に困りごとがある場合には、どのように対処できるか具体的な対処法を話し合って実践する。
    例「●●さんは失くし物をしたり、提出物が遅れたりすることが多いよね。そのために●●さんも周りの人も困ってしまうことがあるね。一度、■■という方法を試してみない?」

    ステップ3

    対処法では解決できないときには、改めて話す場を設け、発達障害の可能性や相談先の話題を出す。医療機関への相談は、必要に応じて提案してみる。
    例「■■を試してみたけど、うまくいかなかったね。もしかしたら●●さんには発達障害の中のADHDの特性があるのかもしれないと思うんだけど、今度、▲▲に相談してみるのはどうかな」

  • 苦手なことばかりを伝えず、うまくできていることも併せて伝える。職場においては、レッテル貼りにならないように相手を気遣い、発達障害の診断があっても本人の不利益とならないことを伝える。
  • 苦手なことがあっても、自身で工夫したり周りがサポートしたりすることで対応することができること(環境調整)を伝える。

発達障害の可能性を伝えることは、当事者と周囲双方の理解が深まり、よりよい関係性を築くきっかけになるかもしれないよ

あなたはどんな方法で伝えた?
簡単アンケートぜひアンケートにご参加ください!クリックタップすると他の人の回答も見ることができます!
  • 当事者と1対1で話しながら
    伝えた24%
  • 家族または職場の同僚など、
    複数の人で話す機会を作って
    伝えた10%
  • メールや手紙などを使って
    伝えた8%
  • まだ伝えられていなくて、
    迷っている58%

発達障害のある人への接し方

ここでは、よくある困りごとに応じた接し方のヒントを紹介します。

共通
  • 会話の中で苦手なことを強調したりせず、得意なことにも目を向け、前向きな気持ちを維持できるよう気を配る。
  • 特性や困りごと、苦手なことを周囲に知っておいてほしいかどうかは本人の感じ方・考え方によって異なるので、周知するかどうか事前にコミュニケーションをしっかり取る。
  • 「普通は……」といった言い方は避け、腫れ物に触るような対応や変に気を使いすぎたりしない。
スケジュール・時間の管理が苦手
  • 予定をよく忘れてしまうことを周りも理解する。
  • 時計を目につくところに置く、To Doアプリやリマインダーの活用などを提案してみる。
  • 仕事の指示は、細かく区切ってひとつずつ伝える。
  • 期限を早めに設定したり、まめな声掛けをする。
タスク管理ができない・物事の優先順位をつけられない
  • ひとりでタスク管理をさせず、家族や職場の同僚・上司とタスクを共有したり仕事のマネジメントを他者に任せたり、役割を分散させる。
  • 必要に応じて、周囲の人が優先順位をつけるサポートをする。
忘れ物・失くし物が多い
  • 付箋やメモの活用を勧める。メモを忘れる場合はデジタル端末を用いる。
  • 仕事の書類や大事なものは、本人以外が管理したり預かったりするようにする。
コミュニケーションが苦手
  • 人との関わりが少なくてもこなせるような環境や仕事を整える。
  • 周囲も理解し、“空気を読む” “気持ちを察する”などの苦手な行動を過度に求めないようにする。
  • 相談しやすい環境を整えたり、連絡事項はメモやメールを用いてやりとりする。

参考:『発達凸凹活用マニュアル』NPO法人発達障害をもつ大人の会 編、2013年3月発行
『発達凸凹活用マニュアル2』NPO法人発達障害をもつ大人の会 編、2014年3月発行
資料のダウンロードはこちらから http://consul.piasapo.com/manual-form

周囲の人が相談できる専門家や利用できる支援・サービス

もしひとりで悩んでしまうときは、専門家に相談することもできます。周囲の方も相談できる支援・サービスをご紹介します。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

市区町村や保健センターなど
身近な相談窓口であり、家庭や仕事に関することを気軽に相談できます。
※周囲の方も相談できるかどうかは、各所へご確認ください。
(仕事に関して)社内の各部署
管理職や人事など社内で相談できる部署や、産業医や社会保険労務士など各社で契約しているサービスなどに相談することもできます。※各社の状況は個別にご確認ください。
発達障害者支援センター
発達障害のある人やその家族への支援を総合的に行う専門機関です。家庭・仕事の両方を相談することができます。
障害者就業・生活支援センター
発達障害のある人が仕事や生活において自立できるように支援を行う機関で、全国に設置されています。仕事や生活に関することを相談することができます。
障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
高齢者や障害者の雇用確保・職業的自立の推進などのために、高齢者、障害者、求職者、事業主等に総合的な支援を行う機関です。仕事に関することを相談することができます。

発達障害者支援センターについて
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監修:昭和大学 発達障害医療研究所
所長(准教授) 太田晴久先生

本文中に使用されている専門用語(アンダーラインのついたもの)については発達障害関連ワード集に詳しく説明があります。