ADHDの特性
忘れ物が多い、ミスが多い
注意力が散漫、うっかりミスが多い、じっとしていられない、順番を待ったり時間を守るのが苦手、忘れ物や遅刻が多い、ついついやるべきことを後回しにしてしまう――
一口にADHDといっても、その特性は多様です。
ADHDの特性を詳しく知ることは、悩みや困りごとの原因、対処法を知るきっかけにもなります。
ADHDの特性について、一緒に確認していきましょう。
こんな困りごとはありませんか?
- 物事に集中できない、もしくは集中しすぎてしまう
- 気が散りやすい
- 忘れ物が多く、よく物をなくしてしまう
- 大事な予定を忘れてしまう
- 頭の中がごちゃごちゃして考えがまとまらない
- マルチタスクが苦手で複数の作業を並行して行えない
- 整理整頓が苦手で、片づけられない
- 重要な書類をどこかに置き忘れてしまう
- 約束の時間につい遅刻してしまう
- 寝坊することが多い
- 仕事の納期を分かっていても守れない
- 落ち着きがないと言われる
- 授業や会議などで、そわそわしてじっと座っていられない
- 人の話を遮って自分の話をしてしまう
- いつも慌ただしく活動してしまい、疲れてしまう
その困りごとは、ADHDの特性が関係しているかもしれません
ADHD(注意欠如・多動症)には、大きく分けて「不注意」と「多動性・衝動性」という2つの特性があります。両方の特性がある人もいれば、どちらか一方が顕著に表れる人もいます。
上に挙げたさまざまな困りごとは、これらの特性と関係している可能性があります。ここで言う「特性」とは、生まれつきの脳の仕組みのことであり、育った環境などで培われる「性格」とは異なります。
ケアレスミスの原因もADHD?
日常生活や仕事でケアレスミスをしてしまうことはありませんか?
ミスをしないように気をつけているのに繰り返してしまう、そういった場合もADHDの特性が関係している可能性があります。
不注意、多動性・衝動性それぞれにおいて、以下のような特徴がケアレスミスの原因となりえます。
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- 不注意によるケアレスミス
- ひとつのことに集中できない、気が散りやすい(他のことに気を取られやすい)、ものごとを順序だてて考えることができない、などが原因となりミスが発生する。
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- 多動性・衝動性によるケアレスミス
- 思いつきで行動してしまう、作業に飽きてしまう、確認ができない、などが原因となりミスが発生する。
また、ADHDでは脳のワーキングメモリー(情報を記憶・整理する能力)が低い人もみられ、ケアレスミスをはじめとしたさまざまな困りごとが生じると考えられています。
大人になってから気づくこともある?
一般的に、ADHDの特性は小児期から成人期まで続くことが多いですが、多動性・衝動性は大人になると目立たなくなる一方、不注意は大人になっても表れやすいといわれています。
また、小児期には困りごとの程度が軽かったり、周囲の環境によってカバーできていたりした場合、大人になり仕事や家庭などの環境が複雑になることで、対処しきれず困りごとが表出し、ADHDの特性があることに気づくケースもあります。
困りごとがある方は、簡単にADHDのセルフチェック
ADHDの特性によると思われる困りごとを抱えている方や、同じことを何度も注意され、改善する意欲があるのにミスを繰り返してしまってつらいという方は、一度ADHDの可能性を検討してみてはいかがでしょうか。
ADHDの診断・対処法について
ADHDの診断は、専門医のいる医療機関で各種診断基準や心理検査を併用した問診を用いて行われます。ADHDと診断された場合、医師や臨床心理士のアドバイスを元に環境調整やソーシャルスキルトレーニング、薬剤の処方など、さまざまな対処法が行われます。
診断とは、レッテル貼りをするためのものではありません。診断を通して困りごとへの対処法が分かるとともに、自己理解が進みサポートを得られやすくなることもあります。
日々の困りごとやセルフチェックの結果から「もしかしたらADHDかもしれない」と思ったら、ひとりで悩まず医療機関を受診してみるのも一案です。
監修:昭和大学 発達障害医療研究所 所長
(准教授) 太田晴久先生
本文中に使用されている専門用語(アンダーラインのついたもの)については発達障害関連ワード集に詳しく説明があります。