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誰にでも大切な
メンタルヘルスって?

―10月10日は世界メンタルヘルスデー

毎年10月10日は「世界メンタルヘルスデー」に設定されています。
年に一度、ご自身や身近な人のメンタルヘルスについて考えてみませんか?

メンタルヘルスとは?

みなさんは、どんなときに「自分は健康だ」と感じますか?
体に痛みや病気がないとき、自由に体を動かせるとき、運動やスポーツで元気よく活動できるときなど、“体の健康”についてはイメージがわきやすいかもしれません。
では、“こころの健康(=メンタルヘルス)”についてはどうでしょうか?「自分のこころは健康だ」と感じたり、こころが健康かどうか考えたりすることはありますか?なんだかやる気がわかない、ストレスを感じる、ゆううつな気分になる、といったことはありませんか?

WHO憲章では、健康とは「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」とされています。つまり、体とこころの両面が良好な状態であることが大切なのです。
毎年10月10日に設定されている世界メンタルヘルスデーは、この“こころの健康”について考える日です。“こころの健康”はさまざまな側面から考えることができますが、この記事では、うつ病、スポーツとメンタルヘルスの関係、発達障害とその二次障害などについて紹介していきます。

世界メンタルヘルスデー

メンタルヘルスに関して正しい知識を普及し、世間の意識を高めることを目的として、1992年に世界精神保健連盟が毎年10月10日を「世界メンタルヘルスデー」と定めました。
毎年、さまざまなイベントが企画されています。2023年のイベントなどについてはこちらをご覧ください。

世界メンタルヘルスデー公式サイト

メンタルヘルスの乱れは誰にでも

多少の気分の落ち込みや体調不良、ゆううつな気分というのは、日々の生活の中で誰にでも起こるものです。
たとえば、一見すると明るくおおらかで毎日楽しく過ごしているように見える人でも、心身ともに日々鍛えているアスリートであっても、それぞれにストレスを抱えてメンタルヘルスが乱れることはあります。そして、その状態が長引くことでうつ病に至るリスクを誰しもが持っています。

メンタルヘルスは、誰かと比べるものではありません。大切なのは、自分自身のこころの状態を考えたり、ストレスをためない・発散する方法を自分なりに実践したりしながら、自分のこころと体をいたわることです。

うつ病ってどんな状態?

うつ病とは、さまざまな原因により一日中気分が落ち込む、何も楽しいと感じられないなどといった症状が現れ、それが少なくとも何週間も続く状態を指します。不眠や食欲不振といった体の不調が現れることも多くあります。

うつ病で現れる主な症状

こころの症状:
抑うつ気分、興味または喜びを感じられない、焦りまたは制止、気力がわかない、物事に価値を感じられない、罪悪感がある、死について考えたり行動に移したりする など
体の症状:
体重増加または体重減少、食欲不振または食欲増加、不眠または過眠、疲れやすい、思考力や集中力がなくなる など

うつ病では、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質について、分泌の調整がうまく働かないことで、心身のバランスが乱れさまざまな症状が現れると考えられています。このような状態では、いつものように頑張ることはできません。無理をせず、まずはしっかりと休養を取り、脳を休ませることが大切です。
症状には個人差がありますが、上記の主な症状にいくつも当てはまり、何週間も毎日のように現れる場合は、うつ病を疑い医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。

アスリートとメンタルヘルス

アスリートといえば、日々心身を鍛え、強い精神を持っているように思われるかもしれませんが、アスリートの多くがメンタルヘルスの問題を抱えているということをご存じでしょうか。その原因は、厳しいトレーニングによるもの、海外遠征による時差ぼけに伴うもの、大会出場を争うような場面での極度のプレッシャーなど、さまざまです。常に勝つことを意識した心理状態を維持し続けることは、少なからず心身に影響を及ぼします。
そのため、近年では多くのスポーツチームがメンタル・トレーナーなどを雇い選手のメンタルケアに力を入れています。また、アスリートのメンタルサポートを専門とする外来や相談室を開設している医療機関も増え始めているなど、アスリートのメンタルケアは注目されてきています。

発達障害と二次障害

発達障害もメンタルヘルスとの関係は深く、発達特性による生きづらさや困りごとなどがストレスとなり、うつ病や不安障害、依存症などの精神疾患や睡眠障害を引き起こしてしまうことがあります。これを二次障害といいます。
また、うつ病などを発症し、受診した医療機関で発達障害であると診断されるなど、二次障害がきっかけで発達障害に気づくというケースもあります。さらに、発達特性に由来する二次的なものでなくても、精神障害を併存することは少なくありません。

いずれにしても、発達障害の特性そのものと、併存する精神障害のそれぞれに適切な対応や配慮をすることが大切です。生きづらさや困りごとを抱えていたり、心身の不調を感じていたりする場合、対応が遅れてしまうとより深刻な状況になってしまうかもしれません。ひとりで解決することは難しいことが多く、周囲の人や支援機関、医療機関などへ相談することもぜひ検討ください。

二次障害や発達障害と関わりのある
病気について、詳しくはこちらもチェック

監修:昭和大学 発達障害医療研究所
所長(准教授) 太田晴久先生

本文中に使用されている専門用語(アンダーラインのついたもの)については発達障害関連ワード集に詳しく説明があります。